111007
言葉の持つ力

昨年、グリーティング絵本「大切なわが子へ」の
津軽弁版を作ろうと思い立ち、最終的には
五所川原市立図書館の司書の方から
金木町で太宰作品を読み聞かせている
長尾真紀子さんを紹介してもらった。
長尾さんは、実に多才な方で、
ピアノ教師を本業とし、書道もなかなかの腕前だ。

事前に、青森県立博物館に相談し
青森の方言の分布について教えてもらった。
津軽、南部、下北と、3つに大別されるが
津軽の人が一番、自分たちの方言に愛着を持っている
そのように教えてもらった。
なので、即座に津軽弁にしようと決めた。
もうひとつの理由は、私の祖父が太宰の生地である
金木生まれであり、ほぼ同時代人だったこともある。

津軽弁版は長尾さんの尽力でほどなくできあがり、
弘前に本社のある、陸奥新報で
大きく取り上げてもらった。
読み聞かされれる子どもの心に
一番良く届くのは、どの言葉だろうか?
常にこれを考えている。
たまたま、被災地である岩手、宮城、福島の
皆さんに、絵本をお届けできるよう、
仕組みを考えている。
岩手と宮城は、南部方言と仙台方言で
大丈夫だという結論に達した。
しかし、問題は福島の方言だ。

福島出身の知人に相談したら、返事が返ってきた。
「福島方言、これは難しいですね。
福島方言と明確に分かる言い回しはあまりなく、
それでいて、浜通り、中通り、会津地方、
さらに各地方の南北で、ビミョーな違いがあると思います。

私の子どもの頃の経験でいうと、
「~でしょ?」というのが、
「~だばい」(中通り中部 郡山周辺)
「~だっぱい」(中通り南部 白河市近くの町)
「~だべ」(会津地方北部 現在喜多方市になっている町)
・・・といった具合です。」

そんなわけで、昨日から
この問題をどう結論づけるか迷い続けている。
言葉には、思った以上の力があるので
その力を最大限発揮してもらうために
適切な表現を絞り込んでいる最中だ。