110929
被災地で描かれた、一枚の雄弁な絵
画像の説明

この絵は、被災者の神田瑞季さんの作品です。
ある新聞で紹介された記事を引用します。
言葉がなくても、雄弁に語っている絵だと思います。
「ひとめぼれ」した作品ですので、ご紹介します。

(記事引用開始)
がれきと化した町並みに向かい、手を取り合って立つ5人の子供-。宮城県女川町立女川第一中学校の生徒だった神田瑞季(みずき)さん(16)は東日本大震災後、自分の思いを1枚の絵に込めた。同級生の鈴木里衣菜(りいな)さん(15)が描いたのは自然あふれる女川の海。2人の絵はスペースシャトル「アトランティス」で国際宇宙ステーションの実験棟「きぼう」に届けられた。震災からもうすぐ5カ月。2人は高校に進学し、それぞれの道を歩き始めた。
 卒業式を翌日に控えた3月11日、2人が生まれ育った町は破壊された。神田さんは祖父が遺体で見つかり、同級生も亡くなった。大好きな絵を描くことも忘れ、「悲しみも何も感じなくなっていた」と振り返る。

 テレビで繰り返される被災者応援のスローガンがむなしく聞こえた。「『頑張ろう』じゃない。本当は頑張りたくない。全身に力を込めていないと立っていられない。自分を立たせるために手をつなぐんだ」。そんな思いを絵に込めた。

 鈴木さんは約1年前、家族で女川町の海沿いをドライブした際に目に飛び込んできた穏やかな故郷の海を描いた。「津波で海が怖くなった」といい、震災以降は絵筆を手にしていない。

 神田さんは県立宮城野高校美術科に進学。鈴木さんは県立石巻高校の吹奏楽部で練習に明け暮れている。

 「この先何があっても、ちょっとのことでは折れないと思う」と神田さん。「この絵のような子供たちがいることを忘れないで」と訴える。

 一方、鈴木さんは「がれきがなくなり行方不明の人が見つかったら、また女川の海を描くかもしれない。今度は前よりもっと明るい絵にしたい」と笑顔を見せた。
(記事引用終わり)世界日報より転載