101028
妄想が妄想でなくなる予感

常々、私は自分が妄想家であることを公言している。
数週間前に、この場で姪ネコのクレモンティーヌとの
会話という設定で、ある「妄想」を記録に残した。

【「わかったよ。引き受けるよ。しようがない。
で、そのシェルターの名前はなんて決まったんだい?」
「ア・ストロフィー・キャット・クラブよ」
「ん?」
「そんなことはどうでもいいじゃない。
おじさん、しっかり頑張ってね。じゃあね」 】

他人には「妄想」だと冗談めかして伝えないと、
それこそ狂人扱いされるに決まっているのだが
この妄想は、特異ではあっても現実的な発想に基づいている
という自信が、私にはあった。
そこで意を決し、外資系企業に勤める
ある海外留学経験者の男性に相談してみた。
2週間が経過し、やはり相手にされなかったかと思い始めた頃、
彼からメールが届いた。意中の協力者がたまたま
来週来日するので、会ってみないかというのだ。
聞くと、そのアメリカ人男性はイリノイ州の大学の先生だが、
かつては日本でヘッドハンティングの仕事をしていたという。

約2時間、私は柄にもなくハイテンションで熱弁に終始した。
どうしても、アメリカを中心とする英語圏での
情報収集の協力者が、基本機能として必要だったので。

それから2週間ほどして、そのアメリカ人の先生から
意見書がメールで送られてきた。その一部だけを紹介しよう。

【This tribal unit needs a leader. You should use your name
and photo. If you use a character instead,
you should give the character a name and include a photo
(such as a photo of a real live cat.)
People want a leader (politicians, etc. have failed them.)】

これだけだと、なんのことやらさっぱり理解できまい。
現実の私は表舞台に出ることは決してないが、
もし彼の助言を受け入れるとすれば、昼寝ネコが
私の代わりに、まるで腹話術のように発信者となる。
彼は大真面目に私の妄想を受け止め、発想の哲学には
共鳴できると言ってくれ、協力も引き受けてくれている。

どうやら、日米共同戦線でクレモンティーヌの
希望に応える日が来るのかもしれない。
つまり、その時には、私はもうすでに妄想家ではなく
特異な発想のリアリストとして、人々に受け入れられるかもしれない。
彼の血筋は調べていないが、もしかしたらかつて
ヨーロッパから移住した昼寝ネコ一族の、子孫なのかもしれない。
そんな気がしている。

標題の動画は、映画「ニュー・オリンズ・トライアル」
原題はRunaway Juryだ。ジョン・グリシャム原作の
裁判もので、ジーン・ハックマン、ダスティン・ホフマン、
ジョー・キューザックが好演している。判事や銃器メーカーの
経営者だけでなく、陪審員役の一人一人までもが
実に素晴らしく演技している秀作で、この映画は
何度も何度も繰り返して観ている。